地方・移住・旅

荒れ果てた8千枚の棚田が、破天荒な方法で復活へ

岡山県美作市上山集楽というところで、荒れ果てた棚田が再生されつつある。そしてその中心にいるのが、今回話を聞いた、西口和雄氏だ。

岡山県美作市(旧英田町)上山地区は、岡山県北部の中山間地に位置し、8300枚約100ヘクタールの棚田が広がっていた農村地帯。高齢化と担い手 不足によって、荒廃していたこの地域に2007年、今回協力していただいた西口和雄さんを中心とする都市住民グループが、「英田上山棚田団」(2011年 NPO法人化)を組織、耕作放棄地となった棚田の再生に関わっている。

2010年には、美作市地域おこし協力隊(通称 MLAT)が実際に美作市に移住、 棚田の再生に携わるなど、耕作放棄地再生において、西日本でも注目すべき地域となっている。昨年末には、日本ユネスコの「プロジェクト未来遺産」にも登録された。

DSCN0406

――上山集楽で取り組みを始めたのは、どういう理由で?

西口さん:そもそものきっかけは、阪神大震災。もともと大手建設メーカーで、ビルばっかり建てていたんです。それが一瞬で崩れ去った。「自分のステージは、本当に都市なのか。田舎は崩れないし、すぐ再生もする」……自問自答したんです。棚田では、何かあってもほとんど住民が直しちゃう。コミュニティが完成してるんですよ。行政に「どうにかしてくれや」と言ってる世界じゃない。モビリティの最先端だし、棚田の景観を維持しようとしてる。しかも、弥生時代から! ずっと努力をしてきた人たちに、価値が与えられてないんですね。棚田は、どんなに小さい区画でも、一枚は一枚。複雑だし絶対「規格商品」にはできない。田んぼによって条件は違うし、生態系までもが違う……この棚田は、世界遺産にするべきじゃないのって思ったんですね。

0606_05
荒れ果てた棚田を再生に導く、驚きの手法その1。西口氏は、「野焼き」を選択した。もはや「山火事」にしか見えないこの作業の結果(もちろん安全は確保)、雑草に囲まれていた(が、ずっとそこにあった)棚田と、それを支える由緒ある「石垣」が姿を現したのだという。

――上山集楽には、約8300枚の棚田があるとか。一体何人くらいでケアしているんですか?

西口さん:現地人として8家族。そもそもの村の人が6家族+アルファかな。でも都市部から年間2500人くらいボランティアに来てくれる。「棚田大学」という、ワークショップのような事をやったりして。僕らの活動を体験してもらって、一緒にやりませんか、と。現在、上山集楽には原住民が67世帯で176人いるんですよ。これを300人にしたいよねって言ってるんです。また年齢層も現状は65歳以上が48パーセントくらい。準限界集落くらいになっているんで、それを一気に30年若返らせるか!?っていうプロジェクトも。実現したら、あと3年くらいで、棚田8300枚を完全再生できるねっていう目論みなんです。

12

関連記事

アクセスランキング

  1. 初めての家庭菜園、ミントを育ててモヒートを作ろう
  2. 全米が注目!最新農業都市モデル「アグリフッド」
  3. 憧れの田舎暮らし! 移住体験ができる人気宿7選!
  4. 半農半X――加藤登紀子とYaeの生き方
  5. 2050年は江戸時代?未来に生きるための農業の在り方。
  6. 自然の恵みを感じよう! 森の中で楽しく暮らすコツ
  7. 陸上養殖の搬送に最適! 「圧力用高密度ポリエチレン管」の強みとは?
  8. 家賃3万円の別荘!? 週末田舎暮らしで移住体験!
  9. 日本に根付く天然資源「稲わら」の活用法とは?
  10. アート・音楽・食の大型フェス、追加情報発表!!
SDGsTV 緑のgoo

雑誌

「EARTH JOURNAL」

vol.06 / ¥1000
2018.11.30 発売

お詫びと訂正