食を学ぶ教育を、全ての公立校の必修科目にしよう!
2017/01/03
食を学ぶ、食べ方を学ぶ教育を、すべての公立校における必修科目にすべきだと訴えている。その背景には、食の貧困が引き起こしている子どもたちの健康被害がある。
家庭で料理をしなくなり、食卓を囲む機会が減っている現代、学校で食を教える責任があるのでは、と呼びかける。この潮流は、全米へと影響を及ぼし、日本でもやっと叫ばれ始めた体験型学習(ActiveLearning)の画期的な教育手法として独自の広がりを見せている。
ガーデンとキッチンの授業を通じて、食べ物を育て、調理し、食卓を囲み分かち合って食べる教育、その実践を長きにわたり行っているのが、バークレー市立マーティン・ルーサー・キングJr.中学校の校庭の角にある、エディブル・スクールヤードである。
私は、ある時、ベイエリアで開かれた収穫祭の席でアリスと会い、彼女の唱える「美味しい世界」にうっかり引き込まれてしまった。
10年以上も前のことだ。アリスはこう言った。「素材が8割、調理は2割。美味しい料理は美味しい食材からしか生まれない」、と。
「エディブル・スクールヤードで子供たちが育てた野菜で作るガーデンレタスサラダも、シェ・パニースのガーデンレタスサラダもレシピは全く同じなの。素晴らしい土と献身的な心で作った食べ物の価値は同じ、私はそれを人々に伝えるために世界でたったひとつのレストランを守っているの」。
「SoCool!」
日本の公立小学校で縁あって始まった、エディブル・スクールヤードの活動の中で、脳裏にアリスの言葉が繰り返し聞こえてくることがある。そしてその言葉が正しいと実感する瞬間、いつも目の前には子供たちのはじけるような笑顔がある。
堀口博子
一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパン代表。カリフォルニア州バークレーに生まれた生命のつながりをガーデンとキッチンの授業を通じて学ぶ体験型教育手法「エディブル・スクールヤード」の日本最初の実践研究を2014年より東京都多摩市立愛和小学校で行っている。
主な翻訳編著に「食育菜園 エディブル・スクールヤード(家の光協会刊)」、アリス・ウォータース著『アート・オブ・シンプルフード』(小学館)など。
※『EARTH JOURNAL』vol.3より転載。