社会・環境

表現するメディア「フェアトレードファッション」とは?

環境キュレーター・末吉里花の気になることレポート『Rikannection』。 連載第1回目は、グローヴァル・ヴィレッジ代表のサフィア・ミニーさんに"素敵"の秘密を聞いちゃいました。

普通の人同士でサポートし合うのが
フェアトレードの大切なコンセプト

里花:さっそくですが、フェアトレードについて、サフィアさんの考えを聞かせていただけますか?

サフィア:人と地球が中心になった社会というのは、ある意味で当たり前のこと、大事なことだと思う。残念ながら、今の国際貿易や政治のシステムでは、そうなってはいないですね。環境と人権を守ってという形ではなく、どんどん人から搾取し、地表を破壊して、生産コストをより安くし、消費者を騙していると思う。
持続可能なシステム、つまり〝人と地球を中心にしたシステム〞に作り直さなければといけないと思います

里花:ピープル・ツリーはなんでフェアトレードファッションに特に重きをおいているんですか?

サフィア:私自身が本当の意味でいいもの=自分の価値観に沿った洋服を着たかったんです。
それを仕事でも週末にリラックスしている時でも、パーティに行っても、『ダボス会議』に行く時であっても……100%フェアトレードの服を毎日着れれば、すごくいいでしょ?
環境へのインパクトを考えると、使い捨てのファストファッションが地球の大切な資源を使って、しかも作っている人の人権を無視して作られているのを、早く変えなければいけない。私は、ファッションは、表現するメディアだと考えているんです。

里花:私も、バングラデシュとネパールの生産者を訪れた時、それを実感しました。
生産者の笑顔が印象的だったし、正当な賃金をもらえて安定した生活ができるだけでなく、家族が一緒に暮らし、子供たちは無料で工場の隣の保育園や小学校にも通えて教育も受けられる。
女性にとっても、働きやすい環境になっていると感じました。サフィアさんは日頃から、地球の資源がどんどんなくなっている中で、〝人の手〞というのが一番大切な資源だとおっしゃっていますよね?

サフィア:その通りです。普通の人が普通の人をサポートするのがフェアトレードの大切なコンセプト。作っている人の顔が見えるということを大事にしています。
地球がこんなにグローバル化して、〝グローバル・ヴィレッジ〞と言われながら、一方では、消費者が材料を含めて何も知らない状態というのは、非常に危険なことだと思う。廃棄などについても理解した上で、貿易システムそのものを変えたいと思います。

里花:全てのブランドがそうあるべきですね……。
先日の撮影で着用させていただいた手織りのシルクのワンピースは、どこのものですか?

サフィア:インドのコルカタのサシャという団体のもの。スクリーンプリントで手ですべての色をプリントしているんですよ。

里花:とっても素敵で、欲しくなりました!


サフィア・ミニー氏 Safia Minney

「ピープル・ツリー」/グローバル・ヴィレッジ代表

’91年に、同じ考えを持つ仲間と共に日本でNGO「グローバル・ヴィレッジ」を設立、’95年にフェアトレードを推進、人と地球にやさしい衣料品、雑貨、食品等を開発、取り扱うブランド「ピープル・ツリー」も立ち上げる。

末吉里花氏 Rika Sueyoshi
環境キュレーター/フリーアナウンサー
2012年より「1% for the Planet」アンバサダーとしても活動中。


※『SOLAR JOURNAL』vol.8より転載。

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