生産量1位! 日本酒のメッカ神戸の「本物のお酒」
2017/01/31
日本で最も古い港町のひとつで、明治維新とともに外洋文化の玄関口となった国際都市、神戸。都市部と農村・漁港が近く、海と山が織りなす風土に恵まれた食文化の宝庫でもある土地で作られたお酒とは?
灘の酒に結実した
神戸のテロワール
神戸市は、酒米の王様「山田錦」の生産量が全国の80%、日本酒の生産量が全国1位の日本酒のメッカだ。
阪神間の海岸線に沿った地域は、古くから「灘五郷」と称賛されてきた酒どころ。今現在も、今津・西宮・魚崎・御影・西の五郷に27の酒蔵が営みを続けている。
六甲山に降った雨は、花崗岩の地層を通ることで、酵母の栄養になるリンやカリウムを豊富に含んだ酒造りに最適な水になる。灘五郷は、この「宮水」と呼ばれる名水と、山田錦の生産に適した土壌と気候に恵まれた。大粒で、玄米の30%近くまで磨き上げられる山田錦だからこそ、雑味の少ない洗練された味を追求できる。
日本酒の最高峰「大吟醸」は、そうして生まれた。
灘五郷の酒蔵のひとつ「神戸酒心館」の「蔵の料亭 さかばやし」では、100%兵庫県産の酒米と宮水でつくった〝灘の酒〞が味わえる。
神戸の自然が生み出すテロワールを通して、郷土の食の豊かさを広く今に伝える名店だ。
text: Aya Asakura
※『EARTH JOURNAL』vol.3より転載