マット・デイモンが’シェールガス’映画を執筆!
2014/08/22
何のために生きていくのか
人生の本質を描く
本作の撮影は、当時、地域住民がシェールガス開発の賛否について話し合いを進めていたペンシルベニアで行われた。そんなタイミングと場所ゆえに、あれこれと意見を言ってくる人がいたという。
「採掘を拒否した地主がいたら、その隣人と交渉して、拒否した地主の地下に向けて横穴を作る。それが現実だ。だからコミュニティ全体で、話し合い、意見を決める必要があるんだ。そうでないと、隣人の土地から自分の土地の下にパイプを通されてしまうからね。しかも、この問題は大金が絡んでいる。
『農場を救うため』と言う人もいれば、『生活を変えるため』と言う人もいる。大きな賭けになるから、とても複雑なんだよ。撮影初日に農夫が何人かやって来て、『水圧破砕(※)の映画かい?』と聞いてきた。そんな時には、水圧破砕について悪いことを言ってはいけない。
反対派の人たちもやって来て、『水圧破砕について良いことを言ってはいけないよ。恐ろしいものだからね。気候を変えてしまうし、水源にも影響を与える』と言ってきた。僕らは賛否両論の立場を描き、会話のきっかけになればと思ってこの映画を作った。答えを与えるのは、僕らの仕事じゃないからね」。
世界中で抱える、環境とエネルギーの問題。かけがえのない「約束の地」を守るために、どう向き合っていくべきなのか? デイモンは作品を通し、問いかけている。
※水圧破砕法
通称ハイドロ・フラッキング。地下の岩盤に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせ、(ここでは)シェールガスを採取する手法のこと。採取過程で使用する化学物質による地下水の汚染、大量の水使用による地域の水不足の可能性、さらには排水の地下圧入による地震発生の危険性といった問題点が指摘されている。
「プロミスト・ランド」
大手エネルギー会社の幹部候補であるスティーヴは、農場以外はなにもない田舎町にやってくる。そこには新たなエネルギーとして注目されている“シェール・ガス”が埋蔵されており、農場主たちから相場より安い金額で採掘権を買い占めるつもりだった。しかし、予期せぬ障害に行く手を阻まれ、仕事への信念と情熱を根本から覆されるような衝撃の真実を知ることになる……。
『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)で一躍スターとなった俳優マット・デイモンとガス・ヴァン・サント監督が3度目のタッグを組んだ最新作。アメリカを揺るがす社会問題を背景に、一人の男が自分の人生を見つめ直す姿を描く、極上のヒューマンドラマだ。
配給:キノフィルムズ 8月22日(金)、TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー
TEXT・INTERVIEW>>IZUMI HASEGAWA