若者とおばあちゃんが起こすICTを使った町おこし
2014/05/23
「もう一つは少子高齢化に対応したこと。売り上げが安定しているのに、後継者不足で地域自体がなくなってしまうことに危機感を覚えた。〈田舎で働き隊〉を募集したところ50名の定員に1300名の応募があった。現在は”地域密着型インターンシップ研修”として形を変え、現在までに500名以上、年間200名を受け入れています。その中で約20名の定住・就業・就農者が生まれ、地域で活躍している」という。上勝町を離れた人にとっても経験や出会いが人生の転機となり、全国に広がる大きなつながりが生まれている。
「上勝という舞台で〈代々〉引き継がれていく文化をどう作っていくのかを考えながら、常に次のステップを目指します。Iターンの受け入れは次の世代に繋ぐことができるだけでなく新しい知恵もやってくる。融合が大事なんです。人・地域・素材すべてが文化的価値がある。活かすか消滅していくか試されているんです」。
人と人の触れ合いの中で老齢者も若者も上勝町という舞台で「居場所と出番」ができ、「幸せ感」を持てる。上勝町では旧き知恵と新しい知恵の共有が成功している。足元を少しでも引き上げることで地域もビジネスもしっかりとしたものになる。「葉っぱビジネス」から派生して新たなビジネスや7つの起業も生まれている。
「葉っぱビジネス」は「和」と「人」と「知恵」の融合をとおして地域の活性化と持続を可能とする武器であるとともにきっかけに過ぎない。
「凄いことをやるのではなくそこにある文化・価値・伝統・人・知恵の凄さを融合することが大切なんです」。
上勝産阿波晩茶は伝統的な手摘み・乳酸発酵のお茶。ペットボトルタイプは移住してきた井川圭太郎さんが商品化、 「いろどり晩茶生産組合」を設立した。茶葉だけでなくティーバックなど様々な製品がある。またスダチやゆず阿波晩茶など特産品を使用した味付けポン酢やせっけん、チーズ、ジュースなどもある。
株式会社いろどり代表取締役
横石知二 氏
葉っぱビジネス(つまもの事業)「彩」をコ アに、人材育成・物産販売・セミナー、視察 など地域活性を目的とした事業展開をして いる。
※SOLAR JOURNAL vol.08(2014 winter)/P20-21「LOCAL ENERGY」より抜粋
取材・文/松浦良樹