地方・移住・旅

地球にも財政にも優しい!「エコなまちづくり」って?

和歌山県中央部に位置する有田川町は近年、名産の「有田みかん」や棚田百選で知られる「あらぎ島」だけでなく、「エコなまちづくり」で注目を集めている。行政と住民が一体となって進めるその取り組みと成功の秘訣について。

写真/有田川町の名勝「あらぎ島」で毎年冬季に行われる「あらぎ島イルミテラス」の様子。LEDソーラーライトを利用していることから、昨年度には、経済産業省資源エネルギー庁が主催する「グリーンパワークリスマス(自然エネルギーでのイルミネーション地点を認定)」の実施箇所としても登録され、それに付随する写真コンテストの対象地にもなっている。

環境意識の高い子育て層
持続可能な町づくり

有田川町は、平成18年に吉備町、金屋町、清水町の3町が合併して誕生、「有田川というエコのまち」を合言葉に、持続可能な町づくりを進めている。そしてその取り組みは、町のイメージアップ(観光面)の効果だけでなく、環境意識の高い子育て層の移住者が増えるなど、地域の活性化の柱として着実に成果見え始めているという。

特長的なのは、その取り組みがありがちな“補助金頼み”のものではなく、町の“財政的にも持続可能”であるという点だ。

軸となっているのは、「分ければ資源、混ぜればただのゴミ」「地域のエネルギーは地域で創る」というコンセプトがそれぞれ設定された、「廃棄物のリサイクル事業」と「再生可能エネルギー事業」。

実は合併前から旧吉備町では、ゴミ集積場のステーション化(下記写真)が達成されていて、合併後にこれをさらに進めて資源ゴミ運搬処理業務をマイナス入札化、やがて年間約210万円もの収入を生むようになったため、町ではこれを元にファンドを設立、その後のまちづくりに活かしてきたのだ。

住民の努力でステーション化されたゴミ集積場。それまで道路沿いや軒下など雨ざらしの露天出しだったものを、こうすることでただのゴミが再分別の必要のない高品質の資源ゴミへ生まれ変わり、貴重なエコ活動の資金源に。行政の働きかけはもちろんだが、住民の高い環境意識が実現のポイントであることは間違いない。

屋根や廃校に太陽光パネル
さらなる「エコなまちづくり」

平成21年度には現在まで続く「有田川エコプロジェクト」が始動。前述のファンドを活用して住宅用太陽光発電設備や太陽熱利用設備の設置補助制度を導入するなど、再生可能エネルギー事業への本格的な取り組みがスタート。町営設備の屋根や廃校に太陽光パネルを設置し、平成27年度には県営ダムの維持放流水を活用した小水力発電所も完成した。

しかもこれらの売電収入は再びファンドに積み立てることで、さらなる「エコなまちづくり」に活かしていくというまさに循環型のサステナブル(持続可能)な仕組みが構築されている。


補助制度を利用して設置された太陽熱温水器。


平成28年度に発電を開始した旧峯口小学校太陽光発電所(46kW)。使われなくなったインフラが、「稼ぐインフラ」に。


町営二川小水力発電所。二川ダムは多目的ダム(治水・発電)であることから、その維持放流水を活用した本発電所の建設にあたっては、様々なハードルがあったという。しかし昨年2月にやっと完成にこぎつけ、平成28年度には、約5,000万円の売電収入を上げることができたとのこと。

 

日本中で「地方創生」が声高に叫ばれる中、「エコ」をキーワードに取り組む自治体は少なくない。しかし、有田川町でこうした取り組みや仕組みづくりが成功している秘訣は、行政と住民双方に共通する「ひとの想いの強さ」にあった。

次回は、そんな「ひと」の一人として、前述の町営二川小水力発電所の完成に尽力した担当者のお話を紹介する(つづく)。


「有田川町は、人口減少率の低さが和歌山県下自治体中4位という好値になっています。とりわけ旧吉備町藤並地区は、県内でも珍しい人口増加地帯で、子育て世代の県内外市町村からの移住者も多数あります。

また、町内の豊かな自然環境に着目して、子育ての場として移住してこられる世帯や、エコ意識の高い独身者の方にも関わらせていただきました。

このような方々は、そのほとんどの方がコンポスト容器無償貸与制度など当町の環境活動補助、貸与制度を利用されています。ロハス、エコという暮らしについての観点をまちへの“住みがい”として見いだす方も少なくはないのではないでしょうか」(有田川町 環境衛生課 環境衛生班主事 上野山さん)。


▼関連リンク
町営二川小水力発電所

有田川町3Rの取り組み特集動画


text:Moriyuki Hatayama

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