社会・環境

熊本被災地から発信! 農村の未来を築く活動

熊本県阿蘇村に拠点を置き、農業と農村の魅力を発信している大津愛梨さん。そんな大津さんが考える人の繋がりを活かした復興活動とは。

民間同士の繋がりを活かし
できる範囲のサポートを

まだまだ余震が続き、予断を許さない状況にある熊本地震(※)。

緊急支援については、行政や経験豊富なボランティア団体などが連携し、比較的早い段階から対策が進んでいる。そんな中、様々な寄付や応援メッセージに対する非難や自粛ムードは、被災直後から始まっていたが、それでも現地の「力強く生きている姿を伝える」ことを念頭に、あえて子供達の元気な笑顔、高級なあか牛を頬張る姿など〝ノーテンキ〞な発信を続けているのが、熊本県南阿蘇村に拠点を置く大津愛梨さんだ。

「直接のご寄付を頂かなくても、熊本県産の農産物を買って頂いたり、ただ想いを馳せて頂くだけでも、私たちは大いに励まされます」という彼女のメッセージは、直接支援が出来ない立場にあると、逆に励まされてしまう。彼女はまた、「災害を機に、原発再稼働について問い直す、自分や家族の暮らしを見つめ直す、住んでいる地域の自立を見直す、地球全体のこれからに思いを馳せる、といった普段忘れてしまいがちなことを、1つ1つ思い返していけたら」とも。
大津さんには、就農以来ずっと取り組んできた農村の未来を築く活動こそが、中長期的にみた復興に繋がるという想いがあるのだ。

そんな大津さんは、自宅の一部を全国から集まるボランティアの宿泊施設として開放、照明や充電用の電源は再エネに取り組む「グリーンエネルギー山口」から届いた太陽光発電とバッテリーセットでまかない、同様のセットを屋外避難している人たちに届けた。家屋などの片付けや、滞った農作業を手伝ってもらうための仕組みも作った。

困ってる人を、顔の見える範囲、力の及ぶ範囲で助け合っていくその姿は、人の強さ、繋がりの強さ、そしてこれからの熊本を創っていく強さそのものであり、復興にはボランティアに終わらない、そんな地元の力強さが必要不可欠。

我々もできるカタチで応援していくことを考えたい。

Ej_KUM20160704_02

「我が家のサバイバル能力を実感した」という大津さん。「断水後も、水は水源や山の湧き水などを活用、停電後も太陽光発電を自立に切り替え、夜は日中に太陽光発電でバッテリーにためた電気で乗り切れた。米があり、鶏もいる。あか牛肉もあった。出荷を断念したアスパラガスやイチゴ、自生のクレソンも美味しく食した。友人・知人の協力と、湧水や太陽に感謝です」。
※記事作成時(2016年5月10日)


大津愛梨

ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部を卒業後、ミュンヘン工科大学(ドイツ)に留学。2003年南阿蘇村で就農、農業と農村の魅力を精力的に発信中。4児の母。


text: Matuura Yoshiki

関連記事

アクセスランキング

  1. 初めての家庭菜園、ミントを育ててモヒートを作ろう
  2. 千葉県八街市で収穫! 週末菜園クラインガルテン
  3. 2050年は江戸時代?未来に生きるための農業の在り方。
  4. 自転車をこいで発電、囚人の刑期短縮に!?
  5. 領土問題の解決法!?「積極的平和」でピース実現!
  6. 家賃3万円の別荘!? 週末田舎暮らしで移住体験!
  7. 100人いれば100通りの意味「アグロエコロジー」って?
  8. 日本が世界に誇る伝統の農業! 世界農業遺産とは?
  9. 全米が注目!最新農業都市モデル「アグリフッド」
  10. 自然の恵みを感じよう! 森の中で楽しく暮らすコツ
SDGsTV 緑のgoo

雑誌

「EARTH JOURNAL」

vol.06 / ¥1000
2018.11.30 発売

お詫びと訂正