社会・環境

“社会と教育”を鋭い切り口で語る! 第1回『SDGs LIVE』イベントレポート

SDGsをテーマごとに語り合い、理解を深めるために本誌が企画したイベント『SDGs LIVE』。記念すべき第1回のテーマは教育。ゲストには社会学者・宮台真司さんとエッセイスト・小島慶子さんを、ファシリテーターには放送作家・谷崎テトラさんを迎えて開催しました。

「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」とは?
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「SustainableDevelopment Goals」の略称。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際社会共通の目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されています。

対談ゲスト
宮台真司さん

1959年宮城県生まれ。社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。公共政策プラットフォーム研究評議員。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了(社会学博士)。『日本の難点』(幻冬舎)、『14歳からの社会学』(世界文化社)など著作多数。

小島慶子さん

1972年オーストラリア生まれ。エッセイスト、タレント、東京大学大学院情報学環客員研究員。学習院大学法学部政治学科卒業後、1995年にTBSに入社。99年には第36回ギャラクシーDJ パーソナリティー賞を受賞し、ワークライフバランスに関する社内の制度づくりなどにも長く携わる。2010年に退社後は各種メディア出演のほか、執筆・講演活動を精力的に行っている。

ファシリテーター

谷崎テトラさん

1964年、静岡生まれ。放送作家/京都造形芸術大学教授。環境・平和・アートをテーマにしたメディアの企画構成・プロデュースを行う。アースデイ東京などの環境保護アクションの立ち上げや、国連地球サミット(RIO+20)やSDGsなどへの社会提言・メディア発信を行う。ピースデー・ジャパンの発起人のひとりでもある。

「SDGs」に対する
それぞれの考えは?

谷崎テトラさん(以下、谷崎):SDGsの存在が社会に知られてきましたが、本来的にはSDGsは社会をより良くするための一つの入り口であって、本当はそこから先に、人はどのように生きて行くべきか、社会をどうすべきか、そういうことを考えて行く、行動して行くことが求められるはずです。今日のテーマは教育ですが、そういう深い話をして行きましょう。

宮台真司さん(以下、宮台):今のSDGsのようにスローガンになっているものを「何か怪しいな」と感じます。そのようなことを最初に言ったのは三島由紀夫です。三島は、天皇主義者が一夜にして民主主義者に変わった滑稽さを、実にみっともないことだ、と考えた。周囲が天皇主義なら天皇主義、それが民主主義になったらコロっと民主主義に変わってしまう。今のSDGsに、それに似たものを感じています。「SDGs良いよね。流行しているね、僕はSDGs主義者です」と。こういうのを三島は、「空っぽのあなた」と言った。

空っぽではない自分になるにはどうすれば良いか、と問題設定すると、自答的に世の中を見ること。スローガンで語られるものはすべて派生的なものであって、その奥に、顕教ではない、密教的な、しかし人類が紡いできた真理がある。持続可能な世界を実現するには、それを感じ、学ぶことが求められる。

小島慶子さん(以下、小島):私は単純に、コレは良いなと思いました。

SDGsが知られて来たちょうどその頃、アメリカの選挙動向を見ていました。私は1972年生まれで、民主主義は素晴らしい、世界を平和にしたんですよ、と教わった世代です。それまで、色々な人がいるけれど、多くの人が良いと言うものは良いはずだと、そう思っていたのでずが、常にそうだとは言えないぞと。民主主義は何でも解決してくれる魔法の処方箋ではないと実感しました。

地球上に住む私達は、政治信条や宗教、利害関係もばらばらだけど、確かに繋がっている。その反動で色んなことが起こっている。どうやって生きていけば良いのだろう、と思っていたときにSDGsに出会ったのです。

どれだけ私達が違っていても地球からは引っ越せない、という事実に関しては全員一緒。ならば何とかして住んでいかなければならない。そのために何ができるか。その方向性を示してくれるのがSDGsだと考えました。

宮台:地球上で仲良く暮らすために何かしようとなったとき、問題になるのは時間軸です。「俺の目が黒いうちに船が沈まなきゃ、後はどうなっても構わない」という勢力がいる。

でもSDGsは時間軸を取り入れている。子々孫々のために大切なものを残す。子々孫々とは人間だけではなくて、生きとし生けるものを自分の仲間だと思えるか。持続可能な社会の実現が……という抽象的なスローガンはどうでも良くて、要は感情が働くか。あるいは、その感情の働きが、従来の時間軸とは違う時間軸、価値観をもたらしてくれるかどうか、それが大切だと思います。

小島:SDGsは全員にとって利益がある概念だから、色々な人とシェアできる。17のゴールと169の指標として具体化されている。しかも、それを身近な問題に置き換えることができます。「今日からペットボトルは止めようかな」みたいなこととか、今日のテーマのように「教育について考えてみようか」というように、今まで遠くに離れて存在していた社会課題が、SDGsという枠のなかで繋がっています。

それが現在の課題だけでなく、10世代先の人にまで時間軸でも繋がって行く。身近であっても、遠くにあっても、現在のことも未来のことも、それらが全て入っていて、繋がっている。良くできているなと思いますね。

議論は教育へ移る――。

谷崎:お二人は最近、教育に関して熱心に発言されていらっしゃいますね?

小島:他の16の項目を理解するには、基礎学力が必要となります。それに人生を通じて私達は様々な事態に直面するわけですけれど、その時にマニュアル的に対処するのでは駄目で……。

SDGsとして書かれてはいない、けれども大切な本質が確かに存在しています。それを読み取る力を育てていくのも、教育に求められますよね。正解がない問いに応えて行く力をつけましょうと。そう考えるとSDGsを全うするうえでは、17項目のなかでも4番目の教育が最も大切なのかも知れませんね。

谷崎:誰もが最低限の読み書きや計算ができる社会にする。そこまで持って行くことで初めて、情報を得ることができ、自分達が社会的にどう置かれているのか理解もできるし、問題意識を持つことができます。教育があってこそ、SDGsで明示されている他の課題、例えばジェンダー平等を実現しよう、安全な水とトイレを世界中に、といった議論が始まると。

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