社会・環境

世界で餓死する4万人を救う流行の最先端アプリとは

2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」をご存じだろうか。貧困撲滅や気候変動対策、不平等の是正など、世界を変えるために掲げられた17の目標のこと。それらに関連する短編映像を視聴できるプラットフォーム「SDGs.TV」を運営する株式会社TREEの代表・水野雅弘さんに話を伺った。

問題の発見から行動へ──
世界を変える一歩を促す

「SDGsのそれぞれの目標について、詳しく説明できますか?」
水野さんはそう問いかけると、おもむろにポケットからスマートフォンを取り出し、SDGsのアイコンにかざした。すると、Blippar(ブリッパー)※1というアプリを通じて「SDGs」に関連する短編映像が液晶画面に映し出された。いわゆるAR(拡張現実)だ。目標を文字で読むだけでは、その内容を理解するのはなかなか難しい。

SDGs.TVでは、17の目標に沿った世界各地で起こっている具体的な問題と行動指針が数分でまとめられた映像を配信している。映像として観ることにより、問題に気づき、自分事として考えることができるという。

水野さんがグリーンTVジャパン※2を立ち上げたのは2007年。今年でちょうど10周年を迎え、これまで作ってきたプログラムの数は実に1200本以上。そのうちの100本がSDGs.TVに提供されている。

「SDGs.TVはプラットフォームです。アイデアのある人、お金のある人、時間のある人、体力のある人など、それぞれが得意なことを持ち寄ってここに集まり、アクションへ繋げます。たとえば、フードマイレージ※3をちゃんと意識している人はまだ少ないのが現状です。日本の食料自給率は39%と非常に脆弱で、しかも、1人当たりのフードマイレージは世界1位。

一方、まだ食べられるのに廃棄される食品ロスは、年間約632万トンにも上ります。世界では1日に4万人が餓死しているのに、世界全体の食料援助量約320万トン(2014年)の2倍近くの食品がわが国で捨てられているということです。その現状をまず知ることから始めたいですね」。

2011年、水野さんはお子さんの誕生を機に、鎌倉から和歌山に住まいを移した。
「紀州材100%の木造住宅に住み、エネルギーは薪ストーブと太陽光発電、庭には無農薬の家庭菜園、口にする野菜・果物・魚はほぼ10㎞圏内の最小限のフードマイレージ。持続可能なライフスタイルを実践しています」。

ところで、水野さんはなぜそこまで映像にこだわるのだろう。
「様々な問題を伝えるのに映像は最も有効な手段のひとつです。たった1分の映像でも、人々に強烈なインパクトを与え、気づきを促し、アクションを起こさせる力があります。人が行動を起こすには”気づき”が必要です。まずは、目の前のことが世界とどう繋がっているかに”目を向ける”。そして、その背景にある様々な問題を”学ぶ”。次に、自分はどんなアクションができるかを”考える”。そして、それを誰かと”話し合う”ことが大切です」。気づきこそがSDGs達成への第一歩なのだ。

「現在、協働パートナーを募集しているのですが、嬉しいことに、すでに多数の企業から賛同をいただいています。その背景には、多くの企業が、製品とサービスを単に提供することや消費者を満足させることから”世界をより良い場所にする”ことへと、そのミッションを進化させていることがあるのだと思います。そのミッションは、まさにSDGsの17目標そのものだといってもよいのではないでしょうか」。
他にもショートムービーやファシリテーター※4も募集中だ。さあ、まずはBlipparをダウンロードしてみよう。世界と繋がるアクションがそこからはじまる。

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