熊本県のエコビレッジ生活「サイハテ」が理想的!
2017/01/27
いま、日本の各地でエコビレッジが生まれている。「お互いが支え合う社会づくり」と「環境に負荷の少ない暮らし方」を追い求める人々が作るコミュニティを意味するエコビレッジ。一体どんな空間なのか?谷崎テトラさんに、今回は熊本県にあるエコビレッジであるサイハテについて伺った。
熊本の宇土半島にある三角エコビレッジ・サイハテに行ってきました。ここで行われた「第一回エコビレッジシンポジウム」に参加のためです。いま日本の各地でエコビレッジが生まれています。エコビレッジとは「お互いが支え合う社会づくり」と「環境に負荷の少ない暮らし方」を追い求める人々が作るコミュニティのこと。
世界では90年代より、様々なエコビレッジの実験が行われていて、そこでは「食の自給」「エネルギーの自給」をベースとして「パーマカルチャー」「トランジションタウン運動」「住民自治」「共同体教育」など、ワールドシフト(持続可能な社会への転換)のための具体的な実践が行われています。
エコビレッジという言葉の概念は、1990年にNGOガイア・トラストの「エコビレッジ・持続可能な共同体」報告書ではじめて提示されました。その後、エコビレッジと持続可能な共同体21世紀モデル会議がイギリスのエコビレッジ、フィンドホーンで開催され、世界のエコビレッジネットワーク(GEN)が生まれました。
僕は1998年から世界のエコビレッジの取材をはじめ、フィンドホーン(イギリス)、ダマヌール(イタリア)、クリスタルウオーター(オーストラリア)、アルコサンティ(アメリカ)などを取材し、そこに持続可能な未来のヒントがたくさんあることを確信しました。日本でも2012年にエコビレッジ国際会議がおこなわれ、以来少しづつ日本でもエコビレッジが生まれてきています。
三角エコビレッジ・サイハテは熊本県 宇城市、宇土半島の真ん中、海山豊かな三角の山の上にある共同体です。パーマカルチャーの発想をベースに衣食住+文化循環型のエコビレッジで10世帯20人が暮らしています。そのうち、子供が4人。20代後半〜40代が中心で、ほとんどがいわゆる「クリエーター」であることが特徴です。ミュージシャン、プログラマー、映像作家、ライティングの専門家、タイル作家、シェフ、パティシエ、大工、グラフィック・プロダクトデザイナー、パーマカルチャーデザイナー、家具職人、織物職人などが暮らします。
ほかのエコビレッジと違うのはそのクリエイティブで自由な雰囲気。ルール、リーダーが無く、それぞれの「やりたい」の循環相乗で仕組みが作られていきます。
「やさしいかくめい」を目指すエコビレッジブラザーズ、谷崎テトラとサイハテ代表の工藤真工。
サイハテはもともと野外フェスなどのパーティカルチャーから生まれました。自然の中で行われる野外フェスは、エネルギーを自給し、飲食を共有し、居心地の良い空間を祝祭空間として作ります。その相互扶助的なコミュニティをそのまま「村」として持続させているという雰囲気と言えばわかりやすいかもしれません。
彼らは「やさしいかくめい」を標榜しています。文化運動としての「ソーシャルヒッピー」、合言葉は「お好きにどうぞ」です。ローカルから世界の変化の兆しが見えてきています。
谷崎テトラ
1964年生まれ。放送作家、音楽プロデユーサー。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事。環境・平和・社会貢献・フェアトレードなどをテーマにしたTV、ラジオ番組、出版を企画・構成するかたわら、新しい価値観(パラダイムシフト)や、持続可能な社会の転換(ワールドシフト)の 発信者&コーディネーターとして活動中。世界のエコビレッジや聖地を旅し、収録した音源で音楽作品も数多く制作している。
<谷崎テトラホームページ>
『EARTH JOURNAL』 vol.1 より転載