食・農活

日本のハワイ「周防大島」に眠る美味しすぎるジャム

コンフィチュールとは、フランス語でジャムのこと。欧米のジャムとは違い、果物を使ったもので、季節の果物の魅力を最大化させてくれるものだ。地域全体が最適化される取り組みとは何か。瀬戸内ジャムズガーデンを営む松嶋さんに話を聞いた。

瀬戸内海・周防大島に行ってきました。周防大島は瀬戸内海で三番目に大きな島で、歴史も古く『日本書紀』ではイザナミが生んだ大八島の一つ、7番目に生まれた島として登場します。

”旅する巨人”こと、民俗学者の宮本常一の故郷でもあり、山奥や島嶼部に住む古老「忘れられた日本人」を研究した原点となる風景がそこにありました。年間の日照時間は国内トップレベル。日本の地中海、あるいは日本のハワイと呼ばれ、春はイチゴにさくらんぼ、夏はブルーベリーと様々な柑橘類、秋はいちじくに栗、冬はミカンにリンゴと、年間を通して様々な果物がなる果樹の島でもあります。その果樹を美味しいジャムやマーマレード、コンフィチュールにするのが「瀬戸内ジャムズガーデン」です。

瀬戸内海の柑橘類やベリー類のジャムは、年間を通して160種類!今、日本で最も注目されているジャム屋さんで、農林水産省が選ぶ6次産業先進事例100件の一つにも選ばれています。代表の松嶋匡史さんにお話を伺いました。「2001年に新婚旅行で訪れたパリで、ブームになっていたコンフィチュール専門店に偶然立ち寄ったのがきっかけです。このような食文化が日本にもあったらいいのにと思いました。」

コンフィチュールとは、フランス語でジャムのこと。しかし欧米のジャムとは違い、果物を使ったフレンチのエスプリを感じさせるもので、それは、季節の果物の魅力を最大化させるマリアージュ。ジャムの概念を覆されてしまった松嶋さんは、その場で30本ものジャムを買って帰ったのでした。

そして松嶋さんは、当時務めていた関西の大手企業を、しばらくの準備期間を経て退職。奥様の実家のある周防大島に移住し、自ら手作りジャムの専門店を始めます。消費者に近い都市部ではなく、あえて生産者の近く、周防大島に開店したのです。そうすることで柑橘産地だからできる、品種選定、栽培方法の改良、さらに同じ品種でも果実ごとの微妙な味の変化に合わせた果実の下処理・煮込み・変化のあるマリアージュを実現します。これまで一般的だった加工用果実=生食販売できない果実を利用するというジャム造りの発想を転換、ジャムにすることを目的とした果実栽培を行っています。

さらに、果実本来のおいしさを表現するために不要な添加物やゲル化剤、化学調味料や合成着色料などは添加していません。砂糖は種子島産のさとうきびを化学的に精製せずに作り上げた「洗双糖(せんそうとう)」を取り寄せて使用。漂白されていないため、ジャム自体は見た目が少々茶色がかった色合いですが、最高の味になるとのこと。こうしたジャムズガーデンの取り組みは、生産者のみならず、地域全体へと及びます。

「単純に自分のところの利益を最大化するのではなく、地域全体が最適化されることで自分たちにも利益がまわってくるのです。だからこそ地域をまず改善していく取り組みをしたいと考えています」(『里山資本主義』より)。

本当に食べたいものは、こういう場所から生まれてくるのだと思います。


瀬戸内ジャムズガーデン(山口県 周防大島町)
「瀬戸内ジャムズガーデン」は、海のみえる素敵な場所に、カフェとギャラリー、ショップと工房があります。ホームページではネット販売も行っている。

瀬戸内ジャムズガーデンホームページ


谷崎テトラ
1964年生まれ。放送作家、音楽プロデューサー。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事。環境・平和・社
会貢献・フェアトレードなどをテーマにしたTV、ラジオ番組、出版を企画・構成するかたわら、新しい価値観(パラダイムシフト)や、持続可能な社会の転換(ワールドシフト)の発信者&コーディネーターとして活動中。世界のエコビレッジや聖地を旅し、収録した音源で音楽作品も数多く制作している。

谷崎テトラホームページ


※「EARTH JOURNAL vol.3」より転載

 

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2017年9月30日発行

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