食・農活

海を愛する「フィッシャーマン」たちの挑戦

水産業の明日を担う「フィッシャーマン」たち。宮城の漁師町からはじまった、漁師たちの熱き想いを、新鮮な食材と共に丸ごと味わえるお店が、東京・中野にオープンした。彼らの限りなき挑戦とは。

写真:中野駅から徒歩1分ほどの場所にある、「宮城漁師酒場 魚谷屋」店主の魚谷浩さん(左)と、銀鮭漁師の鈴木真悟さん(右)。

 

漁師の熱意をそのままに
「旬」の味を届ける

「今月のオススメは銀鮭だよ。生で食べられるのはこの時期だけだから、ぜひ食べてみて!」

中野駅(東京都)から徒歩1分ほどの場所に「宮城漁師酒場 魚谷屋」はある。お店の扉を開けると、目の前のカウンター席越しに、活気溢れるオープンキッチンが広がっていた。まだ開店して間もないというのに、既に店内は満席で賑わいを見せている。

手際よくあっと言う間に捌かれ、美しい薄紅色をした角のたつ引き締まった刺身が、華やかに器に盛られていく。クセのない甘い脂が、口いっぱいに広がった。東京で生の銀鮭を食べられるお店はそう多くはなく、その美味しさに驚きを隠せないお客さまが多いようだ。

生の刺身で食べられるのは春から夏(3月〜7月ごろ)にかけての数ヶ月に限られる。

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尾頭付の大きな銀鮭が、小骨の処理をしっかりすることで、舌触りの良い刺身になる。

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銀鮭3点盛りは、それぞれ違った味わいを楽しめる。

「お味はどうですか? 生の銀鮭は、東京ではあまり食べられないと思いますが、僕たちは昔から日常的に生で食べているんですよ」と教えてくれたのは、宮城県女川町の銀鮭漁師の鈴木真悟さん。爽やかな笑顔が魅力的な若い漁師だ。月に数回、生産者がやってくる特別な日があるのも、この店の特徴となっている。「漁師さんに会えるのが楽しみで、今日は来ました!」という若い女性客から、「ここの魚は鮮度が良くて、本当に旨いんだよ!」というサラリーマンまで客層は幅広い。

「漁師の熱意や意欲を伝える、ライブ感がある酒場を作りたかったんです。」というのは、店主の魚谷浩さん。開放感のあるオープンキッチンから、元気に語りかけてくれる。魚谷さんは、宮城で「一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン」のメンバーと出会い、現場でしか味わえない鮮魚の旬の美味しさや、漁師ならではの食材の楽しみ方に衝撃を受けたそうだ。なかなか現場に行けない都会の人にも、漁業の魅力を伝えていきたいという思いで、同法人と共に平成28年3月に「株式会社フィッシャーマン・ジャパンマーケティング」を立ち上げ、飲食店事業に乗り出した。

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お客さまとの会話が弾む、銀鮭漁師の鈴木さん。

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2000/09/08 | 編集部からのお知らせ

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