食・農活

都市部で広がる “農的ライフスタイル”

「場所がない」「忙しい」「やり方がわからない」――こんな理由で農業や家庭菜園を諦めている人がいたら、ちょっと待ってほしい。そうした悩みを持った人でも気軽に〝農〞を体験するための選択肢がいま、増えてきている。

やりたい気持ちがあれば
誰でも始められる
農的ライフスタイル

場所がないなら畑を借りて週末農業を、忙しいなら家のベランダやリビングで家庭菜園を、一緒にやる仲間が欲しいならSNSで見つける。農家を目指すなら、1日限定の農家体験や、より長期のインターンシップ、仕事をしながら通える農業ビジネススクールまで、様々な環境が整いつつある。

ここ数年で利用者が増えてきている市民農園は、一定の区画を借りて自分だけの畑を持てるサービス。農具一式が準備され、不明点はアドバイザーに聞くこともできるので、初心者でも安心(※注/対応は農園による)。子供から大人まで、週末に気軽に農に触れることができる。首都圏中心であればシェア畑、関西や東海などを含む全国規模であれば体験農園マイファームなどがある。

畑に通う時間さえもない……そんな人には、ベランダで育てるという選択肢もある。畑に比べると収穫量は減るが、ベランダも立派な家庭菜園の舞台になる。野菜からハーブまで十分楽しめる空間だ。初心者向けハーブ栽培セット「AROMA GARDEN(アロマガーデン)」なら、70種類の中から好きな品種を選んで育てることができる。

ベランダさえもないなら、リビングやキッチンで野菜を育てよう。水耕栽培キットは土を使わないので部屋を汚す心配もなく、簡単に収穫ができるように設計されている。
特に人気なものでは、レタスやイタリアンパセリなどの葉もの野菜が育つ水耕栽培器「Green Farm」がある。

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ただ、畑を介して交流できる市民農園とは違い、家で育てる場合は仲間に恵まれないこともある。そんなときに活用したいのが、家庭菜園特化型のSNS。ネットを通じて全国の菜園者と繋がり、うまく育たないときは質問を、収穫時は喜びを共有できる。「菜園ナビ」や「Cropnet(クロップネット)」が有名だ。

もし農に触れるなかで「農家になりたい」と本気で思ったなら、一度生産者に会ってみると、より具体的にイメージがつかめるだろう。1日体験なら「仕事旅行」を、1ヶ月以上であれば「いなかパイプ」でインターンシップを、しっかりと体系的に学びたいのであれば「アグリイノベーション大学校」で社会人をしながら農業の勉強もできる。

こうした環境がどんどん整っていけば、みんなの食卓に必ず一品〝自分で育てた〞食材が並ぶ――そんな社会が実現するかもしれない。食べ物を自分で育てる体験は、もっと身近であっていいはずだ。

 


※『SOLAR JOURNAL』vol.12より転載

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2017/11/27 | 地方・移住・旅, | 社会・環境

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