清水国明 「わざわざ農業をするということ」
2015/06/28
芸能界屈指のアウトドア派で知られるタレントの清水国明さん。農業を中心とした富士山麓の大規模施設に加え、瀬戸内海の孤島で自給自足生活を体験できる環境づくりも自身で進めている。清水さんの自然、そして農業や漁業への思いを聞いた。
箱庭ではない本当の自然を体験してもらいたい
1970〜80年代にかけフォークソングデュオ「あのねのね」で人気者になり、芸能界で活動を続けてきた清水国明さん。一方で、「自然」のなかでの生活を提唱するなど、活躍の場を広げてきた。福井県の山間地で代々の農家に生まれ、京都の大学に在学中に芸能界デビューした。「20代の頃は田舎者を隠して、六本木でシティボーイを気取っていたのですが、30代で都会人の顔をするのを止めました」。
その後、自然を扱う企画への出演が増えたが、違和感も覚えた。「山にロケに行ったとき、僕にとっては〝大都会〞みたいな自然環境でもスタッフは〝ジャングル〞と表現したんです。箱庭みたいなところでも、都会人は自然だと感じるというギャップを覚えました。自然のなかでものを作って、食べて――というのが私の生き方だと感じました」。
その後、タスマニアやソマリアで自然農法に出会ったり、農業の文献を読んだりして自然への想いは深まっていった。清水さんは、「自然暮らし」をテーマに、1995年にアウトドアライフネットワーク「自然暮らしの会」を立ち上げた。
2004年には、自身が暮らす山梨県富士河口湖町に「NPO法人 河口湖自然楽校」を設立、翌年には人間本来の機能を目覚めさせようと河口湖にアウトドアパーク「森と湖の楽園」を構えた。「富士山のふもとでの自給自足の生活です。自分で切った木で火を焚いて食事をつくる、家も建てる――そんな生活を目指しています。野生のシカやハクビシンなどが富士山から降りてきます。夜中に目が合ってビックリということもあります」。