清水国明 「わざわざ農業をするということ」
2015/06/28
「遊農」という発想世代間交流と教育にも
清水さんの自然への思いは、もはや趣味の領域にとどまらない。産業として農業、林業、漁業の将来を考えている。そして、提案するのは「遊農」という考え方だ。
「現代の日本では、飢餓よりも肥満が圧倒的に多い。より多くの食料を提供する農・漁業は時代に合っていません。最近は観光業が重視されていますが、第一次産業も〝遊び・楽しさ〞で収益を得られるようにスイッチしていかなければいけないと思います。遊びを入れた、楽しい農業をするべきです。農業に憧れる都会人はたくさんいます。国などからの補助金漬けになっていては、農業は元気になれません」。
その「遊農」を自ら実践するため、清水さんは貸農園を展開している。子供、両親、祖父母の3世代で種をまき、草むしりをして、収穫する。収穫の後は、すぐそばのキャンプ場で採れたてを食べる。「農場には、それぞれが輝くステージがあります。おじいちゃん、おばあちゃんの活躍の場でもあり、子供たちへの教育にもなる。観光として、遊びとしての農業の魅力はそこにあります」。
そして清水さんは、農業だけではなく漁業もできる瀬戸内海の小さな無人島での活動も始めた。山口県周防大島町に属する島を「ありが島」(正式名・片島)と名付けて自然体験事業を行っている。島の外周は約3キロで、2013年から着手、ログハウスも建設された。
「本当の自然のなかでの生活と漁業、農業を体験することがコンセプトです。例えば、じゃがいもを放っておいたら芽が出ました。この土地に合っているのでしょう。そのようにここの太陽や土を気に入ってくれた種を育てていきたいと思います」。
清水さんが経営する、自然暮らし体験村の「森と湖の楽園」内にある「LOHASな畑」。キャンプで宿泊する家族や、修学旅行や遠足での収穫体験、保育園・幼稚園・企業で行う契約農園など、多くの人々がこの畑で農業を楽しんでいる。