「個人でできる脱原発」電力会社を選択するドイツの人々
2016/04/07
一足先に電力会社を選んで乗り換えた海外在住の日本人ライターより、レポートが届いた。実際に生活はどのように変わったのだろうか?
電力会社を選ぶことは、
自己表現のひとつ
ドイツでは1998年の電力市場自由化により、電力会社を選ぶことができます。国内には約100の電力会社があり、インターネットの比較サイトで郵便番号を入れると数百の電力会社がずらりと出てきます。「料金」や「再生可能エネルギー」など条件を入れて検索でき、とても便利です。
電力会社から届いたチラシと請求書。このチラシでは、脱原発や公正な電 気料金が高らかに謳われている。
私もドイツにきた当初は地元の電力公社から買っていましたが、シェーナウ電力会社に乗り換えました。チェルノブイリ原発事故を契機とした反原発運動から、市民が作った会社です。再生可能エネルギーだけを扱っており、反原発の姿勢を明確に打ち出しています
電力は目に見えないし、どこから買っても使い勝手は変わりません。しかし、電気料金として自分が払うお金が、ポリシーのある会社に入り、再生可能エネルギーの推進に使われているのは気持ちの良いものです。
このように電力会社を選ぶということは、自己の意志を表現する手段のひとつとなっています。原発の電力を買う人がいなくなれば、原発は自然と淘汰される。「再生可能エネルギーを選ぶことは個人でできる脱原発」といわれる所以です。
文/田口理穂
※『EARTH JOURNAL』vol.01 より転載