食・農活

移住者の多い街「藤野」 そのおいしい魅力とは?

移住者の多彩な活動が、さらなる人を呼ぶ

藤野は昨今、その自然や人に惹かれ、移住してくる人が多い地域としても有名になりつつある。

藤野を拠点に「半農半X」な活動を展開している久保正英さんも、そんな移住者のひとりだ。「生産と消費をテーマにイベントを開催しまくっている」という久保さん。「ポテトチップス組」「ポップコーン組」というグループを作り、年間を通してじゃがいもやとうもろこしの栽培を学ぶだけでなく、塩づくりから油抽出、工場見学等々、ポテトチップスやポップコーンの生産から加工流通、消費まですべてを学べるワークショップなども開催している。

また、「生産」と「消費」における社会課題の解決を求めて起業する人に向けた講演を依頼されたり、飲食店や加工食品企業などを対象に「お客様が応援したくなる飲食店になる7つのステップ」といった「応援される取り組みしようよー!」って働きかけも行っている。

さらに、東京都市大学と共同でウォーターフットプリント(※)における、野菜の栽培法ごとの環境負荷の研究まで行っているとうから驚きだ。藤野で盛んに開催されるマルシェ(MARCHE)にも生産者仲間と積極的に出店し、生産者と消費者の接点=顔の見える関係づくりに注力。そのために、春菊を中心に個人向け宅配用として年間25種類以上の野菜栽培も行っている。

※ウォーターフットプリント
食料や製品の「生産」から「消費」までの全過程、あるいは組織や地域において使用される「水」の総量のこと。

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そんな久保さんが経営する「シンプル・ベジ」の自然栽培/無農薬・無肥料・無除草剤で作られた野菜は、実はかなり“入手困難”。「友人、または友人からの紹介者、過去にご注文いただいたお客様、既に昨年よりご予約いただいているお客様、過去にご注文いただいたお客様からの紹介者、直接お会いした経緯からご注文を検討いただいている方」など、購入するには、かなり細かい「条件」があるのだ。しかしそれは、「消費者と生産者の距離を縮める」ためのわかりやすい方法でもある。

おいしい野菜を食べるには、やはり畑まで行くのが一番、久保さんの野菜を食べたければ、久保さんに会いに行けばいい、ということなのだ。そして言葉をかえれば、生産者から直に手渡される野菜こそが本当においしい野菜、というメッセージにも受け取れる。

少なくとも、そんな野菜にまつわるストーリーが存在することは、知っておいて損はないだろう。


写真/ 藤野トランジション、シンプル・ベジ

取材・文/ 松浦良樹

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