エネ活・最新技術

耕作放棄地を豊かに!“メガ”ソーラーシェアリング

日本のソーラーシェアリングの導入は着実に進み、2016年度には総計1054件と、ついに1000件を突破した。盛り上がりを見せるソーラーシェアリング市場において、今年もっとも注目をあつめたのが、3月に完成したビッグプロジェクト「匝瑳(そうさ)メガソーラーシェアリング発電所」である。

注目のソーラーシェアリング、
順調に稼働

2017年3月、日本中の農業関係者とエネルギー関係者が注目するビッグプロジェクト「匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所」が完成した。落成式には、小泉純一郎、細川護熙、菅直人の歴代3首相が政党の垣根を越えて列席し、このプロジェクトの重要性を印象づけた。

ここは、ソーラーシェアリングとして日本最大規模となる1MW(メガワット)の太陽光発電所。想定年間発電量は142万4000kWh、一般家庭およそ300世帯分の年間消費量に相当する電力をつくりだす。自然エネルギーへの転換が急がれる一方で、太陽光発電所の適地が年々減少している日本にあって、膨大な農地を活かして発電できるソーラーシェアリングへの期待は高まるばかりだ。これが1MWという大スケールで展開されるとなれば、関心が集まるのも当然だろう。

そのメガソーラーは、
新たな農地をつくりだす

近隣の耕作放棄地。「匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所」も、元はこんな土地だった。

しかし、匝瑳メガソーラーシェアリングは、ただ規模が大きいだけではない。その最大の意義は、農業が続けられず荒れ地になってしまった「耕作放棄地」を、ソーラーシェアリングを行うことで農地として再生させようという狙いにこそある。それは、農地を守りながら発電するという従来型ソーラーシェアリングをさらに一歩進めて、ソーラーシェアリングによって農業を復活させようという試み。実際、ここは面積の半分以上が、もう15年にわたって耕作放棄されていた場所なのだ。

このプロジェクトは、これまでも同地で中小規模のソーラーシェアリングを手掛けてきた「市民エネルギーちば合同会社」の完全子会社として新設された「匝瑳ソーラーシェアリング合同会社」が運営する。同社は、プロジェクトに賛同する「千葉エコ・エネルギー株式会社」、環境イベント企画会社「有限会社en」からの情報面での協力と匿名組合出資での資金協力を得て事業展開を図っている。資金は他に、「城南信用金庫」からの融資と、「SBIエナジー株式会社」による社債引き受けによって調達。当初事業資金は合計3億円で、日本初のメガソーラーシェアリング事業向けプロジェクトファイナンスともなっている。

大豆の葉が生い茂り、
収穫を待つばかり

2017年9月現在の「匝瑳メガソーラーシェアリング第一発電所」。運転開始から約半年、大豆の葉波が一面にひろがる美しい農地に!

面積は、約3万2000㎡。耕作の担い手がいなかったこの土地だが、ソーラーシェアリング導入に合わせて在来大豆の栽培がスタートした。いま耕作を行っているのは、市内の若手農家ら7者からなる農業生産法人「Three little birds合同会社」。耕作委託料200万円(年間)で、パネル下の耕作を請け負っている。この耕作委託料は、匝瑳ソーラーシェアリング合同会社が売電収益の中から支払うという仕組みだ。Three little birdsのメンバーは、自身の田畑に加えてソーラーシェアリングでの耕作を行うことで、それぞれに農家経営の安定化を実現するとともに、新
しい仲間である新規就農者の受入れを企図している。

9月初め、改めて匝瑳を訪ねた。太陽光パネルの下には、大豆の葉が青々と生い茂り、収穫を待つばかりとなっている。荒れ地だった頃の面影は、微塵もない。長く地域の課題であった耕作放棄地解消に向けて、確かな一歩が刻まれたことは間違いないようだ。この素晴らしい取り組みが、日本各地に広がっていくことを願わずにはいられない。


写真/片岡一史
文/廣町公則

EARTH JOURNAL vol.05(秋号)より転載

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2017年9月30日発行

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