農水省、地域活性化に取り組む農山漁村の優良事例を募集
2016/08/02
農山漁村が持つ魅力を発掘し、これらを地域活性化につなげている優良な事例を選定、全国へ発信する表彰事業「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」。現在、全国から取組事例を募集中だ(2016年8月15日まで)。
上記写真は、昨年度グローバル賞に輝いた「『遠野・住田ふるさと体験協議会』(岩手県遠野市)」
農山漁村の持つ
ポテンシャルを引き出したい
農林水産省では内閣官房との連携のもと、平成26年度から「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」という取組を進めている。
これは、農山漁村の持つポテンシャルを引き出すことにより地域活性化や所得向上に取り組んでいる優良事例を全国から募集・選定するもので、これら優良な事例を全国に発信することで、さらに他地域への横展開も図っていくという。
応募対象となるのは、地域における農林水産業や地域の活力創造につながる取組を行なう団体だ。具体的には、美しく伝統ある農山漁村を次世代へ継承する取組、幅広い分野・地域との連携による農林水産業・農山漁村の再生に資する取組、国内外の新たな需要に即した農林水産業を実現する取組が該当する。
2014年の第1回選定では全国251団体の応募から23地区を、第2回では683件の応募から27地区が選定された。今年で3年目を迎え、現在まさに応募を受付中だ(8月15日まで)。これまで同様、優良事例として約20地区を選定するほか、とりわけ優れた取り組みにグランプリを、さらに特徴が際立つ地域には特別賞を授与する予定だという。
<昨年度グランプリに輝いた「新湊漁業協同組合」(富山県射水市)>
知名度・売上向上に寄与
これまで選定された地区は、知名度や売上の向上、あるいは取り組みの広がりなど、さまざまな形で効果を上げている。
「例えば、昨年度にグランプリを獲得した富山県射水市の『新湊漁業協同組合』は、受賞を機にマスコミで取り上げられたことが功を奏し、市内の観光ルートにも組み込まれた結果、昼セリ見学の年間来場者数が前年よりも増加しました。
また、石川県能登町の『春欄の里実行委員会』は、農家民宿を核に食をはじめとする地域の魅力を一体的に提供する『スローツーリズム』の、能登の世界農業遺産地域全体での推進の中心地区となっています」(農林水産省 都市農村交流課 課長補佐 富岡弘一郎さん)。
<昨年度27選定地区の一つに選ばれた「北庄中央棚田天然米生産組合」(岡山県久米南町)>
「点」の成果を「面」に広げ、
さらなる横展開を図る
各地がこうした成果を上げているが、今後は選定地区の知名度向上や選定地区間が相互に取組を磨き合う仕組みを構築する予定だ。
「選定地区の知名度向上のためこれまで行なってきた政府広報による情報発信などに加え、インバウンド需要にも対応すべくPR動画の作成や旅行会社との商談会への出展支援などを行なっていきたいと考えております。また、SNSを活用した選定地区のネットワーク化など、選定地区がステップアップできる仕組みを検討しています」(富岡さん)。
なお、「ディスカバー農山漁村の宝」のグランプリや特別賞の選定プロセスにおいては、有識者懇談会委員による審査が行われるが、一般の人も参加できる仕組みがある。約20の選定地区が選ばれた10月ごろから、グランプリと特別賞の選定に向けて、農林水産省のWEBサイト上で一般の人々による「応援メッセージ」が募集されるのだ。募集開始のタイミングで、再びこのEARTH JOURNALのWEBサイトでもお知らせする。
Text:kazuko kojima