食・農活

都市に住みながら「田舎暮らし」ができる!?

「田舎暮らしをしたい」。そんな願いを持ちつつも現実的にかなわないという人は、都市生活者に少なくない。それなら、マルチハビテーション(多拠点生活)という選択はどうだろう?都市に住みつつも田舎暮らしが出来る、新たな生き方をご提案。

理想的なエコビレッジで学ぶ
サステナブルな農的暮らし

のどかな里山が延々と広がる千葉県いすみ市。
「自然に囲まれた暮らしをしたい」と、写真家のエバレット・ブラウンさんと、マクロビオティック料理研究家の中島デコさんがこの地に移住したのが1999年のこと。以来、サステナブルな暮らしを実践しながら、築き上げてきたのが「ブラウンズフィールド」だ。
広大な敷地には、2人の住居でもある母屋に加え、田んぼや畑、カフェ、自然食品店、ツリーハウスやコテージ、古民家などの宿泊施設を併設。

また、雨水タンク、コンポストトイレ、太陽光温水器といったエコ機能も完備。この地に惹かれてきた人々との化学反応を繰り返しながら、丁寧に創り上げられてきたエコビレッジだ。

ブラウンズフィールドには、あらゆる人が日常的に訪ねてくる。農的暮らしをしたい人、マクロビオティックに興味がある人、環境問題に取り組む人などなど。動機は様々だが、ここでの暮らしから何かを学びたいという人はとても多い。


学びを得るためには、ワークショップに参加する、宿泊施設を利用する、働きながら長期滞在をするなど、いくつかの選択肢があるが、近年、新たな受け入れ態勢がスタートした。その1つが、4泊5日の「BFまるごと体験」だ。味噌づくりや保存食づくり、稲の収穫や脱穀など、季節の作業をする短期合宿のような位置付けで、月に1〜2回開催。「参加者も私たちもウィンウィンな関係が心地いい」と、デコさんは話す。

「こうした作業を体験したいという人が実は結構いるんですよね。大人数の方が作業効率もいいし、人手があるのは私たちも嬉しい。だから、参加費もお得にしました。お釜で炊いた玄米を皆で食べるから、まさに同じ釜の飯を食べる仲間(笑)。一人で参加しても、すぐに仲良くなりますよ」。

一方、4〜10月までの連続コース「サスティナブルスクール」も実施。全6回のスクールで、食、農、衣、住をトータルで学んでいく。
「色々なところでお料理教室をやってきたけれど、料理だけじゃなく衣食住のすべてについて、私の知っていることをシェアしたいとずっと考えていて。季節の移り変わりの中で、自然の恵みを育み、収穫し、加工して、丸ごといただくこと。草木染めなど、昔ながらの自然にあるものを生活に取り入れること。私が伝えたいと思うことを全部盛りこんでいます」。

過去3回行われたサスティナブルスクールでは、あらゆる人が参加。
門戸がより大きく開かれたことで、一般企業の勤め人をはじめ、参加者の属性も多様化してきているという。多くの人たちにとって、貴重な体験学習ができるサードプレイスになりつつあるのだ。

「たくさん働いてたくさん消費するような経済社会では、心身が疲れてしまう人も多いですよね。でも、自然も食も人も循環させる暮らしを実践すれば、経済社会に振り回されずに幸せに生きることもできる。この場所が、その1つの見本になれたらいいと思っているんです。足るを知ることで満たされる生活もあるんだって、1つの選択肢として知ってもらえたら」。

今年のサスティナブルスクールは、4月15日からスタート。新しい生き方を模索している人にこそ、ぜひ体験してみてほしい。

Brown’s Field(ブラウンズフィールド)

●BFまるごと体験
35,000円(4泊5日分の宿泊費、食費、体験費、その他諸経費込み)
●サスティナブルスクール
72,000円 全6回(4月~10月の土日)
※一括支払いの場合、特別割引12,000円引き ※宿泊費別/大人1名1泊3食付き10,000円
●慈慈の邸
大人1名1泊2食付き19,440円(4月29日より上記価格に料金変更予定)

Brown’s field


photo&text:Yukiko Soda

『EARTH JOURNAL』vol.4より転載

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2018.11.30 発売

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