パオロ事務局長の美食の旅~和牛「但馬玄」編~
2016/10/18
味の変化に気づいたのは、固定客だった。
「地元の産直で、うちのものを選んで買ってくれていたお客さんから美味しくなったと言われて。自分の舌で確かめてみると、脂身がしつこくない!と実感しました」。
上田さんは、食品検査機関に調査を依頼。脂身の融点が低く不飽和脂肪酸が約70%を占め、脂の融点も12.4度という良質な牛肉であることがわかった。
<有馬温泉の老舗旅館「御所坊」のディナーになった但馬玄。「御所坊」は、上田畜産が直接流通を始める前から買い支えてきた。>
自信を得た上田さんは、独自流通に乗り出した。現在は、加工施設と食肉技術者を抱え、と畜場から戻った枝肉を自社加工。地元のレストランや、車で2時間ほどの距離にある有馬温泉の旅館、個人顧客などに直接販売している。
また、牛の排泄物を超高温発酵させた堆肥は、それを敷料にして牛舎へ戻す「戻し堆肥」となる。さらには、兵庫県名産の酒米「山田錦」の田んぼに入れることも決まっているという。
<牛の糞尿は発酵させ、敷料にして牛舎へ戻す。糞尿が再利用でき、オガクズなどの敷料代の節約にもなる。>
「昔の農家は、雪に閉ざされる冬は杜氏として酒蔵に出稼ぎに行き、留守の間に妻が子牛を産ませて翌年の農作業に備えていました。米と牛とお酒は、すべてつながっていたんです」と目を輝かせる妻の美幸さん。
上田さん夫妻は、和牛在来種「但馬牛(たじまうし)」を継承し、経済的価値を生み出しながら、地域に根ざした物語を紡いでいる。
「在来種の血統と継承の物語を持ち、持続可能な方法で小規模生産され、高い経済的価値を生んでいる上田さんの但馬牛は、スローフードムーブメントの理想形」とパオロ事務局長も太鼓判を押した。
兵庫県美方郡香美町小代区神水738番地
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[直営店]
但馬牛牧場・上田畜産直売店 城崎温泉 牛匠 上田
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