2050年は江戸時代?未来に生きるための農業の在り方。
2016/11/07
ワールドシフトネットワークジャパン代表理事の谷崎テトラによる連載コラム「ニューブリードの時代」。省エネルギー、完全リサイクルの江戸時代へと回帰した日本での暮らしは、1日3時間半働けば暮らせる晴耕雨読の生活。必要なモノは簡単につくれる自給自足社会。こういった未来はおこりえるのだろうか?
アグロエコロジーと資源リサイクル社会
石川英輔さんの「2050年は江戸時代」という近未来SFがある。石油が枯渇し、工業化の行き過ぎで行き詰まり、それ以後、生活全体を見直しながら農業社会を作り上げるという未来の日本を描いたSFだ。出版されたのはいまから20年前の1995年。
当時は江戸ブームのなかで江戸時代って循環型社会で面白いなあと思っていたのだけど、気がついたらあと35年。妙なリアリティが感じられるようになってきた。
省エネルギー、完全リサイクルの江戸時代へと回帰した日本での暮らしは、1日3時間半働けば暮らせる晴耕雨読の生活。必要なモノは簡単につくれる自給自足社会。木工、金工、職人たちがかっこいい。
地域コミュニティが復活し、ローエネルギーで暮らす、懐かしい未来の風景だ。
こういった未来はおこりえるのだろうか?
その鍵は「石油」にある。国際エネルギー機関(IEA)は、2006年に在来型の石油生産のピークをむかえたことを認めたが、非在来型の化石燃料に移行したとしてもいずれ化石燃料は枯渇する。
石油はすべての工業製品の95%に直接または間接的に使われている。米シェールオイルのピークは2021年といわれる。ウランも85年で枯渇するといわれる。