オーガニックコットンで起業。その成功の秘訣って?
2017/01/23
〝安ければいい〟ではなく
適正価格を理解してもらう
S もっと普及していくために、どのようなことが必要ですか?
M コットン製品をつくる側、売る側の意識が変わることです。コットンは一般的にナチュラルなイメージが強いですが、実はたくさんの農薬が使われているということを知ってほしいですね。オーガニックコットンを使っても見た目は変わらないのだから、デザインはそのままで素材だけ替えてくれればいいのではないかと。
S 色味やデザインが制限されないのなら、オーガニックコットンを取り入れる際のハードルはコストの面が大きいのでしょうか?
M 適正価格を理解してもらう必要があると思います。安いものには安いだけの理由があります。オーガニックコットンを丁寧に栽培して生地を編んだり織ったりする。そのときどきで関わる人に適正な賃金を支払うと、こうなりますという対価なんです。価格の意味をきちんと理解してもらえば、選ばれる素材だと思っています。
S オーガニックコットンは「高い」というイメージを持たれがちですが、そうではなく、それが「正しい価格」なんですね。商品の価値観の転換でもありますよね。
M 商品を売る人が、安くなくても売るっていう勉強をするのも大切です。たとえば、発注がきたときに商品の値段がすでに決まっていることも多いんです。いわゆる上代といって、3000円で売るっていうところから話がスタートしているので、生産者にしわ寄せが来るんですよね。売る人は安いほうが売りやすいから。そういった全体の売り方が変わるといいなと思います。売る側も、消費者も、変わらないとダメですよね。
S 製品ラインナップに10%ずつオーガニックを入れる取り組みをしている会社もあるそうですが、そういった動きについてはどう思いますか?
M 正しい表記をして売る分には問題ないと思います。オーガニックコットンを扱おうとする人たちって、〝最初から100%にしなければダメ〞と思っている人が多いんですが、使っているコットンの10%でも20%でもオーガニックコットンを採用してくれたらいいんですね。そして消費者がお店で購入する際に、オーガニック100%と勘違いしない売られ方がされることが大事です。