政策

温暖化対策 ジュネーブ会議の成果はいかに?

3月6日(金)、WWFジャパンによって、温暖化の国際交渉などについて意見を交換する勉強会「スクール・パリ2015」が開催された。

今年12月に開催が予定されている国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21) では、2020年以降の温暖化対策について新たな国際枠組みの合意が期待されている。

しかし、複雑化する各国の対立を背景に予断は許されない。そんな中、2月8日から13日にかけてスイス・ジュネーブで開催されたのが、ダーバン・プラットフォーム特別作業部会第2回会合第8セッション(ADP2.8)だ。今回の勉強会「スクール・パリ2015」では、このADP2.8の会議の結果について、WWFジャパンの山岸尚之氏が解説を行った。

特別作業部会では、2014年に行われた国連気候変動リマ会議での各国の意見をもとに、国際枠組み合意のための土台となる「交渉テキスト」をまとめることが重要課題となっていた。作業の難航が予測されたものの、開催3日目にはまとめられ、その後は各国の意見に漏れがないかを確認する作業が続けられたという。

しかし、交渉テキストがまとめられたからといって、今後の交渉が容易に進んでいくというわけではない。温暖化対策については資金支援や長期目標など、大きな問題がいくつか残っているのだ。

特に注目したいのは、「差異化」と呼ばれる問題。これまで、国際社会は「先進国」と「途上国」というグループに分けられており、先進国が対策を先導してきた。しかし、近年では新興国が目覚ましい経済発展を遂げており、経済成長と共に温室効果ガスの排出量増加も目立ってきている。

そのこともあり、ADP2.8で先進国側は、従来のような二分法は継続するべきでないと主張。一方で途上国側は、その主張は先進国の対策不十分の責任転嫁であると主張し、意見は対立した。各国の変化に順応するためには、国々をどのように「差異化」するかが問題なのだ。各国が協力して温暖化問題に取り組むためには、このような課題を乗り越えるしかない。

現在、EU、アメリカ、中国などが温暖化に関する目標を掲げているが、いずれも正式なものとして国連に提出されているわけではない。山岸氏は、さらにこれら3ヶ国以外の国も、目標案を準備しているようであったと報告した。

また、「日本国内での見通しは不透明であり、6月に開催が予定されている次の国連会議までに準備が整わなければ、本格的な交渉の中での立場低下につながりかねない」と懸念。2015年合意に向けて各国が動き出した今、日本もその国としての本気度を問われている。


WWFジャパン
https://www.wwf.or.jp

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