シェアした陽の光でブルーベリー。相性抜群で他地域への普及にも貢献。
2018/07/28
高齢者でも管理がしやすく、観光農園や6次化の需要もあるとして、千葉県内でも生産量が増加しているブルーベリー。「ソーラーシェアリングにも適した希望の作物」と胸を張る、いすみ市のブルーベリー農家に話を聞いた。
アイキャッチ:藤江さんは現在5種類のブルーベリーを栽培。
収穫量も糖度も変化なし
管理面でのメリットも
ブルーベリー農家の藤江信一郎さんが大きな転換期を迎えたのは、約4年前のこと。地域活動に関わる中で、まちづくりに熱心な高木繁昌さん、再生エネルギーに造詣の深い山本精一さんと出会い、「一緒にソーラーシェアリングをやらないか」と誘われたのだ。初めて耳にする言葉に最初は戸惑ったものの、知識が深まるにつれ、大きな可能性を感じるようになったという。「周りで遊休農地が増えていることに心を痛めていました。
観光農園として8月には多くの人がブルーベリー摘みに訪れる。「パネルが日除けになり、利用者にも好評」と藤江さん。
田園に囲まれたブルーベリー農地。(写真提供:高木繁昌さん)
昔の人が大変な思いをして開墾した農地をなんとか再生できないものかと。収益も多く、営農が条件であるソーラーシェアリングなら、活路を見出せるのではと感じたのです」。2014年3月、共同出資をし、いすみ自然エネルギー株式会社を設立。まず、最も日当たりが良く、施行に適したブルーベリー農地の一角をソーラーシェアリング化。自身の経験から「ブルーベリーは陽の当たらないところでもきちんと実が熟すと知っていた」ため、遮光による不安はなかったという。
たわわに実ったブルーベリー。農薬不使用なのでそのままでも食べられる。
「ブルーベリーとソーラーシェアリングは相性が良く、実際に収穫量も糖度も施工前と変わりません。野菜なら回転期間が短く、雑草対策が必要なため2毛作が望ましいですが、果樹は1毛作でいいので管理が楽な点も魅力。また、耕作放棄地の場合、まず荒れた土を耕して復活させなくてはなりませんが、ブルーベリーなら植えるところだけを耕せばいいので、遊休農地にも適しています」。その後、耕作放棄地3箇所、宅地1箇所、庭園1箇所でもソーラーシェアリング化を実現。耕作放棄地は、見事にブルーベリー農園として再生し、土地の所有者にも喜ばれているという。
「我々がコンサルティングをした他地域のソーラーシェアリング事例では、ブルーベリーの苗もお譲りしている。ブルーベリーは、6次化もしやすく作物としての需要も高いので、今後は全国にこの輪を広げていきたいです」。
同社取締役の高木さんが経営する宿泊施設の一角では、珍しい庭園ソーラーシェアリングを実施。
PROFILE
いすみ自然エネルギー株式会社
ホームページ:http://いすみ自然エネルギー.com
電話:0470-66-0479
EARTH JOURNAL vol.05(2017年秋号)より転載