究極の”地産地消”は、南アフリカにありました。
2017/01/19
食べものがお皿の上に
乗るまでのストーリーを知る
このプロジェクトを仕掛けたのは「Tsai Design Studio」の建築家、ツァイ氏。
レストランには隣接する市場も作られた。またアフリカの伝統的市場「souk(スーク)」を現代的にしたこの「moyo souk」では、すだれアーケードの代わりにソーラーパネルが日陰を作り、ボックス型の店舗が並んだ。
そしてツァイ氏はここにも「アクアポニックス」で栽培する野菜ウォールと養殖タンクを設置し、観光客にアフリカで食べものが育つ様子を伝えたのだ(※実はこのレストランは人気観光地での期間限定プロジェクトで、残念ながら現在は営業していない)。
都市の農地やビルの屋上でのアーバンファームもテーブルとの距離は近いが、野菜達の声を消費者に直接届けるには、「ファーム・トゥ・テーブル」の距離をゼロにして、「OITF」のように育つ場所で食べたり、「moyo V&A Waterfront」のように食べる場所で育てれば、野菜達のストーリーが、よりイキイキと伝わるだろう。
レストランで育てるということは、料理人が生産者でもあるということ。ならば地産地消の究極は「ファーム・トゥ・テーブル」のプロセスで皆が生産者になることかもしれない。
もし食べ手の私達も家庭やオフィスで小さな生産者になれば、日常の暮らしで食とのつながりをより強く感じられるだろう。
そして、野菜のストーリーを知ることこそ、よりおいしく、より美しく野菜を食す方法でもあるに違いない。
※ファーム・トゥ・テーブル…その土地で採れた旬の野菜を使用して、季節にあった料理を提供する。
※『SOLAR JOURNAL』vol.13より転載