菜園で、キッチンで生まれる 特別な信頼関係
2016/11/24
<一般社団法人 エディブル・スクールヤード・ジャパン代表 堀口博子さん 編集者である堀口さんは、自身を「とことん突き詰めるタイプ」と評する。エディブル・スクールヤードの活動は、今後さらに洗練されて、やがて全国の学校へと広がっていく……お話しているうちに、期待が大きく膨らんだ。>
「そもそも編集者である私が、食の世界に興味を持ったのは、大好きな布を作るアーティストを訪ねて西表島を訪れた時、美しいものが生まれる風景の中に食の営みが一緒に存在している日常を体験してから。最終的に辿り着いたのが、サンフランシスコ・フェリープラザで開かれていたオーガニックのファーマーズマーケットでした。生産者と生活者が食べ物を通じて家族のように結ばれていく、多様で美しい光景に魅了されて。〝求めていたのはこれだ!〞と感じました。それから数年後、今やオーガニックフードのカリスマとして知られるアリス・ウォータースが手がけるエディブル・スクールヤードに出会ったんです」。
そう語る堀口さんが訪れたのは、前述の『食育菜園』の舞台、キング中学校の学校菜園だった。何度か通い、授業として行われているガーデンとキッチンのクラスには、未体験の〝大きな感動〞があったという。
「子供たちと過ごしているうちに、〝信じられる世界〞を感じたんです。食べ物を介した関係って、信頼の上に成り立っているもの。笑顔でやり取りをしていると、普段とは違う、強い信頼関係でつながれるんですよね」。
教育の現場には、全く縁のなかった堀口さんが、愛和小のプロジェクトを引き受けたのも、そんな感動をここ日本でも味わいたかったから。
「最近やっと感じられるようになりましたね。変わってきたんですよ、子供たちとの距離感が。作業しながら話していると、彼らなりのいい距離を取ってくれる。菜園やキッチンって、やっぱり特別な場所だな、と思います」。
一般社団法人
エディブル・スクールヤード・ジャパン
TEL 03-5467-4621
info@edibleschoolyard-japan.org
photo :Masahiro Ihara
EARTH JOURNAL vol.01より転載