食・農活

東日本大震災をきっかけに始まった農家とシェフの語

東日本大震災をきっかけに、フレンチの料理人と自然栽培の農家が出会い、レストランの経営方法も変わっていった。”レストランHagiの好みを完全に理解し届けてくれる野菜の魅力を伝えていきたい”(萩春朋氏)高品質な食体験への挑戦は、力強く続いていく。

厨房の裏の秘密基地では
とある計画が遂行されていた

福島県いわき市「Hagiフランス料理店」のシェフ、萩春朋さんは同じく市内で自然栽培の野菜を育てる「ファーム白石」の8代目、白石長利さんと出会った。2011年の5月、まさに東日本震災から2ヶ月ほどの頃だ。
「あの頃は本当に廃業することになるかもしれないと思いました。そんな折、彼に出会い救われた思いがしました」。

白石さんの元へ農業を学びに行った萩さんが目にしたのは、放射性物質の検査で検出限界値以下であっても破棄されてしまう多くの野菜だった。野菜は生鮮食品ゆえ、足がはやいのだ。
「こんなに良い野菜を無駄にしたくない。日持ちのする形で商品にするために、ドレッシングを作ろうと白石さんにもちかけました」。

それが、2人のコラボレーションの始まりだった。2012年に第一弾としてレシピを開発し完成させた「焼ねぎのドレッシング」はなんと、白石さんが手売りで4000本を完売させた。これには萩さんも驚きつつ、生産者が自ら売ることの効果を実感したという。

「Hagiの厨房の裏には、農家の秘密基地があるんですよ」と萩さんが嬉しそうに教えてくれた。白石さんと萩さんの加工品の実験室的ラボを作ったのだそうだ。ここを拠点に、2人はいわきの野菜の魅力を届けるべく、様々な商品を開発している。

「レストランの営業が終わった22時頃に白石さんが店にやってきて、朝の3時頃まで2人で試作をつづけていた時期もありました」と萩さんは笑う。

最初につくり、大人気商品となった焼ねぎのドレッシングは継続的に生産しつつ、良い自然栽培の野菜を白石さんが提案しては萩さんがレシピを考え、加工する。

 

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2017年9月30日発行

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